パンフォーカスと過焦点距離について。風景写真ではF値を何に設定してどこにピントを合わせれば良いのか。

記事内容

この記事ではパンフォーカスと過焦点距離について解説しています。

パンフォーカスや過焦点距離とは何なのか。そして、パンフォーカスを得るには、F値を何にして、どこにピントを合わせれば良いのか。

こうした疑問を解消できるよう書かれています。

目次 ▽△

パンフォーカスについて

画面全体にピントを合わせて撮影することを「パンフォーカス」と呼びます。言い換えれば、ボケのない写真です。特に風景の撮影では多用されます。

そして、パンフォーカスで撮影するには、絞って(F値を大きくして)被写界深度を深くすれば撮影できます。

しかし、どれくらいまで絞れば良いのか、そしてピントはどこに合わせれば良いのでしょうか!?

この疑問に答えるのか「過焦点距離」という言葉です。

ちなみに、被写界深度について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。

絞り(F値)とは!?絞り(F値)と被写界深度の理解を深め、シーンに応じたF値を使い分けよう。

過焦点距離について

過焦点距離とは

過焦点距離についてざっくり説明すると、「無限遠にピントが合う最短のピント位置」となります。ちょっと何を言っているのか分かり難いと思うので詳しくご説明します。

例えば、カメラからすぐ近くの位置にピントを合わせた場合、そのピント位置の前後にはピントが合いますが、無限まではピントが合わずボヤけます。ちなみに、無限遠は「遠くの背景」という認識で良いかと思います。

パンフォーカスと過焦点距離について

このようなイメージです(青い領域をピントの合っている範囲を考えてください)。

そして、実はピント位置がカメラから遠くなるほど、被写界深度は深くなっていきます。ボケの4要素で「撮影距離」というのがありましたね。カメラと被写体との距離が短いほどボケやすいというやつです。これの逆のことをすれば被写界深度は深くなります。

ボケを大きくするコツ!ボケの4要素を知ってボケをコントロールしよう。

なので、ピント位置を少しずつ向こう側へ移動させていけば、あるポイントを境に無限遠までも被写界深度に入るようになります。

パンフォーカスと過焦点距離について

上図のように、無限遠まで被写界深度に入るようになる最短のピント位置を「過焦点距離」と呼びます。

過焦点距離は一番無駄なく被写界深度を利用てきるポイントと言えます。

パンフォーカスと過焦点距離について

ピント位置が過焦点距離よりも手前だと、無限遠がピント範囲に入りません。

パンフォーカスと過焦点距離について

逆に、ピント位置が過焦点距離を過ぎると、手前側のピント範囲が短くなります。

パンフォーカスと過焦点距離について

過焦点距離にピントを合わせれば、無限遠にピントが合いつつ、手前側のピント範囲も最大限広くできるわけです(青い領域をピントの合っている範囲を考えてください)。

したがって、過焦点距離にピント合わせるのが、一番効率的にパンフォーカスで撮影できることになります。

そして、過焦点距離は焦点距離やF値によって変化します。なので、焦点距離とF値から過焦点距離を計算する公式があります。覚える必要はありませんが、一応書いておきます。

過焦点距離を計算してみよう

その過焦点距離を計算する公式はこれです。

  • 過焦点距離(㎜)=焦点距離(㎜)×焦点距離(㎜)÷F値÷許容錯乱円(㎜)

結構ややこしい公式ですね。許容錯乱円というのはピンボケの判断基準に使われる数値みたいなものです。具体的には0.03mmや0.002mmを使いのが一般的です。

試しに、焦点距離14mm、F11と仮定して計算してみると約593mmとなります(容錯乱円は0.03mmで計算)。約60cmですね。

つまり、焦点距離14mm、F11ではカメラから(センサーから)60cm離れた場所にピントを合わせれば、手前側から無限遠まで一番ピント範囲を広くできることになります。ちなみに、手前側は過焦点距離のおおよそ半分から、ピントが合うようになります(この場合は30cm)。

パンフォーカスと過焦点距離について

上図のように過焦点距離にピントを合わせれば、手前30cmから無限遠までピントが合います。これでパンフォーカスで撮影できるわけです。

このように過焦点距離を使えば、自分が使う焦点距離とF値から、最適なピント位置を知ることができます。あるいは、焦点距離と撮影距離から、最適なF値を計算するみたいなこともできますね。

 

ただし、過焦点距離にも問題があります。

過焦点距離について問題点

いちいち計算していられない

正直なところ、いちいち「過焦点距離(㎜)=焦点距離(㎜)×焦点距離(㎜)÷F値÷許容錯乱円(㎜)」みたいな計算をしていられないです。

非常に手間ですし、計算している間にシャッターチャンスを失うかもしれません。

簡単に計算してくれるアプリもありますが、それでもいちいち面倒です。

やっぱりピントがボケる

焦点距離14mm、F11だと過焦点距離が約60cmということですが、これで実際に撮影して無限遠(背景)をみると、やっぱりピントが緩いです。スマホなどの小さな画面で見る分には問題ありませんが、ちょっと拡大するとボケているのが分かります。

過焦点距離はフィルムカメラの時代から使われている方法ですが、今のデジタルカメラは大体どれも2000万画像以上で高画素化が進んでいます。しかも、写真をみるモニターの解像度も上がってきています。つまり、今のカメラはピントにシビアです。

そういった状況に対し、古くから使われている過焦点距離の考えでは、対応しきれない状況になっているのだと思います。

 

では結局、パンフォーカスで撮影するには、どうすれば良いのでしょか!?

簡単にパンフォーカスで撮影するには

画面の手前側1/3の位置にピント

実は、被写界深度は手前側に約1/3、奥側に約2/3の割合で広がります。

パンフォーカスと過焦点距離について

このようなイメージ。

なので、単純にF11から16程度にしっかり絞って(必要ならそれ以上絞って)、画面の手前側1/3の位置にピントを合わせれば、いちいち過焦点距離を計算しなくても、効率よく被写界深度を使えます。

この写真なら丸印の部分でピントを合わせています。これでしっかりパンフォーカスになっていますね。

パンフォーカスと過焦点距離について

また、人は手前側に視線が集まる傾向にあるので、奥側よりも手前側にピントを合わせた方が良い結果を生むとも言えます。

ということで、しっかり絞って画面の手前側1/3の位置にピントを合わせておけば、パンフォーカスは大体問題ありません。

それで無理なら被写界深度合成

ただし、どうしてもパンフォーカスにならないこともあります。

例えば、手前側の地面などにぐっと近寄って撮影する場合です。

パンフォーカスと過焦点距離について

この写真では地面の紅葉を撮るために、最短撮影距離まで近づき、一番手前にピントを合わせています。そうするとF22まで最大に絞っても、奥の山がぼやけてしまします。

これに納得できない場合は被写界深度合成するしかありません。被写界深度合成の方法については以下のリンクを参考にしてください。

被写界深度合成の方法。被写界深度合成で隅々までピントのあった写真を撮る。

風景を撮るフォトグラファーは被写界深度合成をすることが多い印象です。

まとめ

  • パンフォーカスは全体にピントの合った写真のこと
  • パンフォーカスするのは過焦点距離が効率的
  • ただし、過焦点距離も問題がある
  • 簡単にパンフォーカスするには絞って画面の手前側1/3の位置にピント
  • それでもダメなら被写界深度合成する

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