
35mm換算とは何か!?APS-Cやマイクロフォーサーズの35mm換算の方法。
この記事では広角レンズの使い方のコツについて詳しく解説しています。
広角レンズは使うのが難しいレンズと言われています。しかし、非常にインパクトの強い写真が撮れるレンズでもある。特に、強いパースペクティブは魅力的です。これを上手く活かした広角レンズの使い方をすれば風景写真は見違えます。
記事内容を念頭に練習すれば、効率よく上達するはずです。
目次 ▽△
一般的に、焦点距離35mm以下のレンズを広角レンズと呼びます。APS-Cのカメラなら焦点距離23,4mm以下、マイクロフォーサーズなら17,8mm以下です。
さらに、焦点距離24mm以下のレンズを超広角レンズと呼びます。APS-Cのカメラなら16mm以下、マイクロフォーサーズなら12mm以下です。35mm換算については以下の記事を参考にしてください。
35mm換算とは何か!?APS-Cやマイクロフォーサーズの35mm換算の方法。
そして、広角レンズの特徴はこのようになります。
まず、人の視野より広い範囲を撮影できるのが広角レンズの特徴です。これが良さでもあり難しさでもあるのですが、一度に広い範囲を写せるのは非常に魅力的です。
パースペクティブとは遠近感のことです。広角レンズで写すと、近いものはより大きく、遠いものはより小さく写ります。このために距離感が強調されるわけです。歪みが生じるために扱いが難しいですが、独特の表現ができるので、風景写真などでは多用されます。
それから広角レンズは焦点距離が短いのでボケにくいです。つまり、被写界深度が深く、全体にピントが合いやすいことになります。なので、全体をはっきり見せたい場合に優位です。
では、これらの特徴を活かした、上手な広角レンズの使い方を見てみましょう。
ちなみに、パースペクティブについては以下の記事も参考にしてください。
焦点距離や画角とは何か。焦点距離と画角の違いで写真に起こる大事な表現の違い。
広角レンズは写る範囲が広いという特徴がありますが、それを活かすには以下の方法があります。
綺麗だと思ったものを、大胆に広く写すのもありです。
広角レンズ特有の気持ちの良い開放感を味わえます。
気落ちの良い夏空。
しかも、広角レンズは色が濃厚に乗りやすいので、非常に風景が映えて美しく見えます。
なので、思ったまま大胆に広く撮影するということが、一番簡単な広角レンズの使い方です。
しかしながら、これだけでは上手くいかないこともあります。基本的に広角レンズはものが小さく写るので、ただ広く写しただけでは、何を伝えたいのかが分からなくなってしまう場合があります。ただ広いだけの写真になってしまう。
確かに綺麗ですが、ただ広角で撮っただけの写真。印象は弱いです。
そこで構図的なアプローチ方法があります。
構図は無数にありますが、3層で構図を組み立てるという方法が使いやすく効果的です。
3層というのは前景・中景・遠景のことで、これらを重ねるイメージで構図を組み立てていきます。標準や望遠の場合は、画角が狭いのでなかなか3層を組み合わせるのが難しいですが、広角なら画角が広いので十分に余裕です。
ちょっと例を見てみましょう。
前景に光の当たっている新緑、中景に長く伸びる橋、そして遠景に雲海から頭を出す山、という具合に3層になっています。
色分けするとこんな感じ。
これを意識することで写真に奥行きが感じられたり、あるいは写真からストーリー性が生まれたりします。
詳しくは次のリンクを参考にしてください。
風景写真の構図を3レイヤー(層)で作る!風景写真に奥行きを表現する撮影方法。
撮影の度にこれを意識すれば、撮影の腕も上達していくのではないかと思います。オススメの広角レンズの使い方です。
基本的にカメラは3:2の縦横比になっています。
なので、何となくいつも3:2にすることが多いですが、もちろん自由に変えても良いです。
これは16:9になるようトリミングしています。ちょっとワイドにすることで、より広がりを感じさせることができます。
特に広角レンズの場合、上下に無駄なスペースができてしまうことが多いです。そこをワイドにすることでカットできます。
というように、写真の縦横比を好きに変えてみるのも、良い広角レンズの使い方です。
何度も書いていますが、広角は画角が広いです。なので、その分不必要なものが写り込む可能性が高いです。
ややもすると画面がごちゃごちゃしてしまい、一体何の写真なのか分からなくなることも多いです。なので、「余計なものは写さない」、「写真は引き算」ということを常に意識するくらいがちょうど良いです。
もし、どうしても画面が整理できないという場合は、焦点距離を長くして画角を狭めることをオススメします。
次に、デットスペースです。デットスペースは特に意味をなさない無駄な空間のこと。
上写真のこの部分です。特に何も写っていなく、何も意味をなしていません。面白い雲があったり、綺麗に焼けていたりすれば良いのでしょうが、ただの曇り空。こうしたデッドスペースは写真を散漫なイメージにしたり、印象を弱くすることが多いです。
広角レンズを使うと、何でも広く撮ってしまいがちですが、それには意味があるのかどうか一度考えることをオススメします。
もし、それがデットスペースであれば、構図を変えてカットするか、編集でトリミングすると良いでしょう。
広角レンズはパースペクティブが強いという特徴がありますが、それを活かすには以下の方法があります。
先ほどは「広角レンズ=広く写るレンズ」という内容を書きましたが、今度は「広角レンズ=遠近感を強調するレンズ」という感覚で使うと良いかもしれません。
そして、パースペクティブは近くのものほど大きく写ります。なので、一歩、そしてもう一歩、被写体に近づいて撮影すると、パースペクティブがより強調されます。
これは水中に張る木の根に、広角でぐっと近寄ることで、パースペクティブを強調しています。そうすることで木の根が長くなり強調され、また山はより遠くにあるように感じられます。印象深い写真になりますね。
また、パースペクティブは狭い空間を、広く感じさせる効果もあります。
この場所は本当に小さな沢ですが、超広角で強烈なパースペクティブを効かせることで、空間が広がって感じられます。
狭い場所はひぜ積極的に広角レンズを使いたいところですね。
パースペクティブをしっかり活かすことは、重要な広角レンズの使い方です。
広角レンズはパースペクティブの影響で、奥にすぼまっていく写り方をします。
この場合、リードライン(視線を導く線)を意識すると、写真に奥行きが感じられるようになります。
分かりやすいリードラインは道・川・山の稜線などです。
また、草の生える方向、影が伸びる方向など、明確な線でなくても問題ありません。
これは風紋ですがちゃんとリードラインになっています。
これもリードラインです。
このように、特に広角レンズでの撮影では自然の中にある線を見つけると、視線が手前から奥へと写ることで、写真に奥行きを感じやすくなります。これは広角レンズを使う上で、とても大切なポイントです。
さらに、リードラインが収束して行く先を「収束点」と呼びます。この収束点も意識すると更に良いでしょう。収束点には何か適当なものを配置します。
というのも、リードラインに沿って視線が動くので、そこに何か人がいるとか、山があるとか、木があるとかすれば、自然に目が止まり、より長い時間写真を見てもらえます。結果、印象に残りやすい。視線が動いた先に何もなければ、さらっと視線が流れるだけで終わってしまいます。それは勿体無いです。
先ほどの風紋の写真も収束点に人が写っていますね。
リードラインと収束点はセットで意識すると良いでしょう。これが広角レンズの使い方のコツです。
広角レンズはちょっとアングルやポジションを変えるだけで、ガラッと見え方が変わります。
アングルについては、カメラを水平にすると「水平アングル」、それよりも上向きにすると「ローアングル」、下向きにすると「ハイアングル」となります。
このような感じですね。
そして、アングルによって写真から受ける印象も違ってきます。
水平アングルは自然な印象、ローアングルは上方向に開放的で高さを感じる、ハイアングルは手前から奥へ奥行きを感じる印象です。
これはアングルによってパースペクティブの付き方が変わるためです。
この写真は地面スレスレからローアングルで撮影しています。木々が空に向かって伸びる印象が強くなりますね。
ちなみに、ポジションとアングルを混同しないようにしましょう。詳しくは次のリンクを参考にしてください。
カメラのアングルとポジションの違い。アングルとポジションを組み合わせて表現の違いを写真に活かそう。
ということで、広角レンズの撮影ではポジションとアングルを色々変えて撮影すると良いです。簡単ですが効果的な広角レンズの使い方です。
パースペクティブでは特に画面周辺部で不自然な歪みになることがあります。
この木も不自然に倒れていますね。これはあまり好ましい印象ではありません。
こうした場合は木を中央付近に持ってくるか(画面の端ほど不自然な歪みになる)、アングルを水平にするか(過度なハイアングルやローアングルは歪みやすい)、あるいは焦点距離を長くしてパースペクティブを緩めてあげる、などの必要性があります。
ということで、広角レンズでは不自然な歪みに注意しましょう。
広角レンズは焦点距離が短くボケにくい(被写界深度が深い)です。
なので、全体を細部までしっかり見せることができます。標準や望遠だとうまく全体にピントが合わないことが多いので、これは風景写真などでは優位です。
それで全体にピントを合わせることを「パンフォーカス」と呼びますが、正確にパンフォーカスするには難しい計算式があったりします。詳しくは下のリンクを参考にしてください。
パンフォーカスと過焦点距離について。風景写真ではF値を何に設定してどこにピントを合わせれば良いのか。
ただ、このような手間なことをしなくてもF11〜F16くらいまで絞り、画面下1/3くらいの場所でピントを合わせれば、だいたいパンフォーカスになります。
このような感じですね。
パンフォーカスはこれで問題ないかと思います。
しかし、これでもどうしても全体にピントが合わないことがあります。そのような時は「深度合成」を使うと良いかもしれませんね(絞り過ぎると回折現象で解像感が低下することもあります)。
これを参考にしてください。
被写界深度合成の方法。被写界深度合成で隅々までピントのあった写真を撮る。
ということで、広角レンズでパンフォーカスする場合は、しっかり絞って画面下1/3くらいの場所でピントを合わせるのが、効率の良い広角レンズの使い方です。
絞るとシャッタースピードが遅くなり手ブレの危険性が高まります。広角レンズは手ブレに強いと言われますが、それでも遅いシャッタースピードは避けた方が良いでしょう。
この場合はISO感度を高くするか、三脚の使用をオススメします。
あとでPCで確認するとブレていてがっかりするのは良くある話なので、無理に遅いシャッタースピードで撮影しないようにしましょう。
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