
パンフォーカスと過焦点距離について。風景写真ではF値を何に設定してどこにピントを合わせれば良いのか。
この記事では三脚の選び方について解説しています。特に、何に着目して三脚を選べば良いのか、詳細に分かりやすく書いています。
三脚選びはとても難しいです。なかなか最初からこれという1本に巡り会えません。
しかし、これを読んでいただければ失敗に終わることはないはずです。
目次 ▽△
まず、最初の頃はどんなスペックの三脚が必要なのか分からないことが多いです。
使用しているカメラやレンズの重さは?使用目的は?あるいは、三脚の高さはどれくらい必要か?収納性はどの程度考慮するのか?
機材が重ければしっかりした剛性の三脚が必要になるし、軽ければそこそこの剛性でも問題ありません。また、将来的に機材が重くなるかも知れないことを想定した場合だと、やはり剛性のある三脚が必要です。
また、使用目的についても、長秒撮影や星の撮影をしたいのなら、しっかりとした三脚が必要です。あるいは、もし三脚を持ち歩きたいのなら軽量コンパクトな三脚が良いでしょう。
ただ、その剛性というのは具体的に何を見て判断すれば良いのか・・・、軽量コンパクトとは具体的にどれくらいの大きさ重さの三脚なのか・・・。
こう考えると三脚選びには考えることが数多くあります。
しかも、最初の頃はそんなことはなかなか分かりません・・・。もちろん、この記事ではこれらを一つ一つ分かりやすく解説しています。
そこで、高さがあり、畳めば軽量コンパクト、しかも剛性の高い三脚を選べば良いと思うかもしれませんね。しかし、そんな三脚は存在しません。全ての性能はトレードオフになっています。
剛性のあるしっかりした三脚を選べば、ゴツく重くなるので携帯性が犠牲になります。逆に、携帯性を優先させれば剛性が犠牲になります。
このように、何かの性能を高めれば、何かの性能が落ちてしまうのが三脚選びです。なので、自分の機材と使用目的をしっかり考えて、必要な性能のある三脚を選びたいところです。
ただし、何かの性能が突出している訳ではないけれど、どの性能も平均ちょっとみたいなオールラウンダーな三脚はあるので、とりあえずは狙い所ではあります。
価格と性能が決して比例しないことも悩ましい点です。
カメラ本体だと価格によって性能がはっきり別れていたりします。もう少し予算を上げれば連写が速くなるとか、モニターが綺麗で見やすくなるとか・・・。
三脚も高価な方が性能的には良いですが、安価な三脚と比較して、その価格に見合った性能差があるとか言われれば疑問なことがあります。
価格と性能をグラフにするとこんなイメージです。3000円の三脚と1万円の三脚では、大きな性能差を感じられます。1万円の三脚の方がずっと良く、7000円差の価格差以上の利点があるでしょう。
一方で、3万円の三脚と10万円の三脚では、大きな性能差はありません。もちろん、10万円の三脚の方が良いのは間違いありませんが、7万円差の価値があるのか言われれば微妙なところです。これは非常にマニアックな部分での性能差になります。
なので、この点でどれくらいの予算を出せば良いのか難しいです。
ただし、最近では中国メーカーの勢いが凄まじく、非常にコスパの良い三脚が多くなってきているので、賛否両論ありますが個人的にはこれらのメーカーはおすすめです。
では、具体的に三脚の選び方について見てみましょう。
三脚選びで最も大切なのが耐荷重です。
耐荷重とは三脚に乗せることができるカメラとレンズの重さを示しています。いわゆる三脚の剛性です。三脚のスペック表には必ず「耐荷重○○kg」と表記されています。
ただし、これはあくまでも目安程度に見ましょう。
なぜ、耐荷重の表記は目安にしかならないのかというと、メーカー共通の基準がないからです。
例えば、同じような仕様の三脚でも、あるメーカーでは耐荷重3kgと表記されたり、別なメーカーでは耐荷重8kgと表記されたりします。バラバラです。特に、中華製の三脚は大きめに、国内メーカーは小さめに表記されている傾向にあるようです。
これを鵜呑みにしてしまうと失敗することがあります。なので、耐荷重の表記は目安程度に見るようにしましょう。ちなみに、耐荷重を目安に見るにせよ、自分の使用するカメラ機材の2-3倍の耐荷重のある三脚が良いです。
では、何を基準として三脚の剛性を判断すれば確実なのでしょうか!?
パイプ径(三脚の脚の太さ)で三脚の剛性を判断するのが無難で確実性が高いです。これなら異なるメーカー間でも比較しやすいです。
もちろん、パイプ径は太い方が剛性が高く、細い方が剛性が弱いです。ただし、前者の方が三脚は重くなり携帯性は落ちます。一方で後者の方が軽く携帯性が高いです。
パイプ径について具体的には以下のような感じです。
パイプ径が20~22㎜は脚が細めなので安定感には欠けますが、その分軽いので携帯性は増します。荷物を増やしたくない旅行や野山のトレッキング向きです。具体的には、一眼レフカメラのエントリーモデルやミラーレスカメラなどのカメラ、レンズは望遠レンズ以外の使用に適しています。
パイプ径が25~28㎜前後の三脚はそこそこの脚の太さなので、そこそこ安定感もあり携帯性も見込めます。これくらいが安定感と携帯性のバランスが一番良いかも知れません。安定感抜群とはなりませんがフルサイズ一眼レフカメラでも使えます。ただし、これも超望遠レンズなどの使用は向いていません。
パイプ径が30㎜以上の三脚は脚が太く携帯性は落ちますが安定感は高いです。望遠や超望遠レンズなどの重くブレやすい機材に適しています。これくらいの脚の太さになると、しっかりとした安定感を感じられます。
このような感じで、自分の機材と使用目的にあったパイプ径の三脚を選びましょう。もし、何を買って良いのか分からないというのであれば、パイプ径が25~28㎜くらいの三脚を選べば良いと思います。
パイプ径太い | パイプ径細い | |
安定感 | ○ | △ |
携帯性 | △ | ○ |
三脚の素材は大きくアルミニウム製とカーボン製があります。
アルミ製は安価です。ただし、重いです。また剛性がそこまで高くなく、振動もやや伝わりやすいです。なので、比較的ブレに弱いかも知れません。
カーボン製は高価です。ただし、軽いです。また剛性が高く、振動を吸収するのでブレが伝わりにくいです。ブレに強い。
いわゆる高級三脚みたいなものはカーボン製です。また、最近は安価なカーボン製三脚も増えてきたので、三脚を選ぶ際はカーボン製をおすすめします。
アルミ製 | カーボン製 | |
価格 | ○ | △ |
重さ | △ | ○ | ブレ耐性 | △ | ○ |
三脚の収納性を決めるのが脚の段数、使い勝手を決めるのが脚のロック方式です。
特に、段数を選ぶのが迷います。
脚の畳む数が段数です。
多くの三脚は3段、4段、5段が多いです。
これは4段と3段の三脚ですね。
同じ高さの三脚でも段数が多い方がコンパクトに畳めるので収納性が増します。なので、携帯性重視なら段数は多い方が良いです。
しかし、段数が多いとその分だけ、最後の方の脚が細くなり安定感が低下していきます。一段ごとに脚は2~3㎜程度細くなるようなので、例えばパイプ径が28㎜の三脚でも5段になると一番下の脚でパイプ径16㎜程度になったりします。細くて頼りない感じです。なので、安定感を求めるなら段数は少ない方が良いです。
目安としては以下のようになります。
このような感じです。
それから、段数が少ないと1段あたりの脚が長くなります。なので、それだけ狭いスペースや低いポジションでの撮影に不利になることがあります。例えば、狭い沢での撮影や、地面に生えている花などの撮影では、長い脚が邪魔になり扱いづらいことがしばしばあります。その点では段数の多い方が優位です。
とりあえずは、何を選べば分からない時は4段を選べば良いでしょう。
段数多い | 段数少ない | |
安定感 | △ | ○ |
収納性 | ○ | △ |
取回し | ○ | △ |
次に脚を固定するロック方式です。
脚の固定には大きくレバー式とナット式があります。
レバー式はワンタッチで脚の固定と開放を操作できるので、素早い操作が可能。あと固定されているか否かが、目視できるのも良い点です。
しかし、容易に分解清掃できないデメリットがあります。三脚を使えば砂利を噛むことも良くありますし、海で使えば塩が付きます。この際にレバー式の脚は基本的には分解清掃できないので非常に困ります。あと、レバーのネジが緩んでくることも稀にありますね。
一方で、ナット式は回転させる必要があるので、レバー式よりは素早い操作がしにくいです。また、固定されているか目視で確認できないデメリットもあります。ちゃんと固定されていなくて、急に脚が縮むことがあります。
しかし、ナット式は容易に分解可能でメンテナンス性が高いです。三脚が汚れれば自分で清掃して、グリスアップなどもできます。三脚を長く使う上で、この点は非常に大切です。
ちなみに、ちょっと高い三脚は殆どがナット式です。なので、基本はナット式の脚を選べば良いと思います。
ナット式 | レバー式 | |
メンテナンス性 | ○ | × |
素早さ | △ | ○ |
三脚の高さも使い勝手を決める大切な要素です。
自分がどれくらいの高さを必要とするのかよく考えましょう。
三脚は高さのある方が使えるシーンが多くなるので優位になります。しかし、高さのある三脚は重く収納性も落ちる傾向にあります。なので、不必要な高さは負担にしかなりません。
とりあえず、三脚の高さについてはアイレベル(目線)を基準として選べば良いでしょう。アイレベルが必要かどうか考えます。
ちょっとくらいアイレベルに達しなくても、モニターを動かしたり、ちょっと屈んだりすれば良いだけと考える人も多いです。これだと大幅に三脚を軽く小さくすることができます。
ただ、やはり高さのある三脚が欲しい場合もありますね。ちなみに、実際の使用には三脚の高さに、雲台の高さ(10cmくらい)、カメラの高さ(10cmくらい)が加わるので注意です。また、アイレベルは身長よりも10cmくらい低いです。なので、身長175cmくらいなら三脚の高さが150cmもあれば、十分にアイレベルに達します。
あと、センターポール(エレベーター)の使用は想定しない方が良いです。これを伸ばすと安定感に欠けます。
特にこだわりがなければ130-140cmくらいの三脚で良いのではないかと思います。
畳んだ時の収納性は上記したように脚の段数に大きく依存します。
個人的な話ですが、私は4段で収納高47cmの三脚と、3段で収納高67cmの三脚を使用しています。
やはり収納高67cmは大きく携帯性はありません。基本的には車での移動で使用します。ザックの横に付けても大幅に上下にはみ出ます。一方で、収納高47cmは携帯性が良好です。登山にも重宝しています。
このように、まずは自分がどのようにして三脚を持ち運ぶのかを考えると良いでしょう。車での移動ならそこまで気にする必要はありませんが、公共機関や徒歩での移動なら50cm前後が良いと思います。
最後に重さについてです。これも撮影を何で移動するかによります。
登山やトレッキングなら1.5kg前後が良いです。重くても2kgまでですね。もちろん、できるだけ軽い方が良いですが、それなりに剛性が落ちます。
あと車で移動するにしても2、3kgまでが良いかと思います。三脚で3kgは数字以上に重く感じます。
以上のように、三脚の選び方について見てきましたが、とりあえず買う1本としておすすめはオールラウンダーなスペックの三脚です(明確な使用目的があるのなら、それに見合った三脚を選びましょう)。
これはパイプ径28mm前後、カーボン製、4段ナット式、高さ130-140cm、重さ1.5kg前後という感じの三脚が良いでしょう。
例えば、LeofotoというメーカーのLS-324Cという三脚がおすすめです。
LS-324C | |
素材 | カーボン |
耐荷重 | 15㎏ |
パイプ径 | 32/28/ 25/22 |
段数 | 4(ナット式) | 高さ | 1307mm | 収納高 | 480mm |
重さ | 1.38kg |
パイプ径が32mmもありますが、重さは1.38kgなので良いでしょう。安定感と高さがあるのに軽く、全方向に良好な三脚です。
ちなみに、Leofotoは最近勢いのある中華メーカーです。スペック的に優れていますが、価格は比較的安いので買いやすい。なので、非常におすすめです。
ただし、そこまで本格的に三脚は使わないという方であれば、もっとスペックを落とした安価な三脚で良いと思います。
国内メーカーではVelbon(ベルボン)とSLIK(スリック)が2大メーカーとなっています。
安心の国内メーカーです。両メーカーともシリーズやラインナップが多く、自分のニーズにあった三脚が見つかりやすいです。
ただし、三脚のトレンドにはやや乗り遅れている感じが否めません。流行りのアルカスイス互換などは最近になりようやく取り入れ始めました。尖ったものが少なく無難なものが多い印象です。
三脚の最高級メーカーとしてGitzo(ジッツオ)とRRS(リアリー・ライト・スタッフ)の2大メーカーがあります。
Gitzoはフランス創立、今はイタリアに拠点があります。価格は高価ですが性能は間違いなく、所有欲も満たされます。憧れの三脚メーカー、Gitzoです。
RRSはアメリカに本拠地を置く三脚メーカーです。こちらも非常に高価ですが、性能もGitzoに並び最高峰と言われています。デザイン的にもカーボンのギラギラとした模様が目を惹きます。
今、勢いにある三脚メーカーとしてLeofotoが挙げられます。
Leofotoは中国発の三脚を中心とした撮影機材メーカーです。Leofotoブランドとしては2014年からスタートしており、まだ新しいブランドと言えます。
中国メーカーと聞くと品質的に不安な印象がありますが、Leofotoのこだわりは凄いです。削り出しの金属パーツ、10層巻きカーボンがなどが標準仕様となっています。また、安価でコスパが抜群です。
次に、SIRUI(シルイ)です。
こちらも中国メーカーですが、非常にコスパの良いカーボン三脚を作っています。脚も良いですが、雲台も安価な割に性能が良く、使用しているユーザーを頻繁に見かけます。
まずはK&F Conceptです。
K&F Conceptも中国のカメラ機材メーカーです。三脚の他に、フィルターやアダプターを作っている。
K&F Conceptはアルミ製で1万円を切るような三脚を販売しています。もちろん、安価からといって粗悪ではありません。さすがに重い機材での本格的な使用には向いていませんが、それなりにちゃんと使うことができます。
次にVANGUARD(バンガード)。
VANGUARDは台湾のメーカーです。ランナップにはカーボン製にも関わらず、1,2万円台の三脚があります。乗せる機材は選ぶでしょうが、低価格でカーボン製三脚が手に入ります。
Manfrotto(マンフロット)は三脚メーカーとして人気が高いです。
イタリアメーカーなのでデザイン的にも洗練されています。ラインアップにはアルミ製とカーボン製があり、そこまで安くはありませんが定番商品になっているという信頼感があります。
特に「Befree」などはヒット商品で有名ですし、「055シリーズ」や「190シリーズ」も2本目の三脚に購入する人も多いです。
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