F値(絞り)による画質や光条の変化について知ろう!風景写真でベストなF値とは。

記事内容

この記事ではF値の違いによる解像力、収差、周辺減光について解説しています。また、絞り羽根の枚数やF値の違いによる光条の形の違いについても書いています。

同じレンズで設定するF値によって画質が変わりますが、これらの内容を理解することで適切なF値を選択できるようになるはずです。より深い知識をつけていきましょう。

目次 ▽△

F値(絞り)によって画質が変わる

F値(絞り)は露出やボケをコントロールしますが、実はそれだけではなく画質にも大きな影響を与えます。

以下、具体的に見てみましょう。

開放F値は解像力が落ちる

レンズによる部分もありますが、基本的に開放F値は解像力が落ちる傾向があります。特に明るいレンズほどその傾向が顕著かと思います。

実際に見てみたいと思います。

F値(絞り)による画質や光条の変化
F値(絞り)による画質や光条の変化

開放F2.8とF5.6で撮影した画像を等倍に拡大し比較しています。見ての通りF2.8の方はもやっとして滲んだ様子。一方で、f5.6の方はスッキリしよく解像しています。

並べて比較すると違いは一目瞭然ですね。上の画像は画面中央部で比較していますが、画面周辺部ならさらに違いがでることがあります。

なので、しっかり解像させたい場合は開放F値は避け、ある程度絞ると良いです。ただし、ポートレートなどの撮影では開放F値でのソフトな写りを好む方も多いので、いつも開放での撮影が悪いという訳では決してありません。適材適所です。

開放F値は収差が目立つ

レンズには収差と呼ばれる画質に悪影響を及ぼす現象があります。これはレンズの光学設計上、やむを得ず生じてしまうものです。

特に、星や夜景の撮影において問題となるのがコマ収差やサジマタルコマ収差と呼ばれる収差です。

本来、星や夜景の街灯などは点で写るはずですが、コマ収差やサジマタルコマ収差の影響を受けると、彗星のように尾が伸びたり、鳥が羽を広げたように変形してしまいます。

原因の1つにレンズが平面ではなく球面であることがあげられます。このために、光がレンズのどの部分を通るかによって屈折する角度が異なってしまいます。その結果、光が収束する位置がずれてしまうわけです。

F値(絞り)による画質や光条の変化

こんなイメージですね。ちなみに、コマ収差やサジマタルコマ収差は明るい広角レンズの画面周辺部で起こりやすい傾向です。

では実際に画像で見てみましょう。

これは星を写した写真を拡大しています。本来、点で写るべきですがサジマタルコマ収差の影響で変形しています。些細なことかもしれませんが、せっかく良いカメラとレンズを使い苦労して撮影しているのだから、収差がない本来あるべき姿を撮影したいところです。

それで、実は収差は絞ることで改善することが多いです。コマ収差やサジマタルコマ収差も絞れば改善します。先ほどまで変形していた星も、絞ることで点に近い形で写るようになります。

というように、開放F値は収差の影響が比較的大きく画質的に不利です。収差の影響を排除し、しっかり描写させたいのならある程度絞った方が良いです。特に夜景の撮影では絞った方が良い描写を得られます。星も絞った方が良いですが、シャッタースピードやISO感度との兼ね合いもあるので、こちらは難しいところですね。

ちなみに、なぜ絞った方が収差が改善されるのかというと、絞った方がレンズの中心部だけを使うことが出来るからです。

F値(絞り)による画質や光条の変化

レンズの周辺部は中心部に比べ性能的に劣る傾向にあります。開放F値で撮ると絞りが大きく開くのでレンズ周辺部を使うことになりますが、絞れば周辺部の光は遮断され性能の良い中心部だけ使うことになります。

このために絞った方が画質が良くなるわけですね。ちなみに、良いレンズほど収差が少ないです。

開放F値は周辺減光が大きい

画面周辺部が暗くなるのを周辺減光と呼びます。周辺減光も開放F値で撮影すると影響が大きいです。

F値(絞り)による画質や光条の変化

絞れば改善していきます。

レンズの個体によっては周辺減光がとても大きなものもありますし、被写体によっては周辺減光させたくないものもあります。そういった場合は絞って撮影すると良いです。

ちなみに、これはレンズの口径食が関係しています。

F値(絞り)による画質や光条の変化

F値を大きくして斜めから見た場合、光は完全には入らず欠けます。これが口径食で周辺減光の原因です(口径食の程度はレンズによります)。

今度はある程度絞ってみましょう。

F値(絞り)による画質や光条の変化

この場合は斜めから見ても光は欠けず口径食はありません。周辺減光が改善される理由です。

また、玉ボケなどが楕円形になるものこれが原因です。楕円形の玉ボケもある程度絞れば丸くなります(ボケ量は減りますが)。

絞り過ぎも解像力が落ちる

先ほどから絞ると良いと書いていますが、絞り過ぎも解像力の低下を起こします。

具体的に画像を見てみましょう。

F値(絞り)による画質や光条の変化
F値(絞り)による画質や光条の変化

F22の方がもやっとしています。一方で、F5.6の方はシャープです。

なので、シャープに写したい場合は絞り過ぎも良くありません。

ちなみに、これは回折現象という物理現象のためです。

F値(絞り)による画質や光条の変化

小さな穴を通過した光は、直線的には進まず広がってしまいます。これが回折現象。もやっと解像力が低下する原因です。

光が通過する穴が小さければ小さいほど、この影響は顕著になります。なので、絞り過ぎると解像力が低下する訳です。

レンズにもよりますがF11から僅かに回折現象の影響が出始め、F16〜F22では目立ちます。なので、必要以上に絞らない方が良いでしょう。ただし、被写界深度との兼ね合いもあるので必要な時にはF22も使います。

結局ベストなF値は!?

これまで見てきたようにF値は解像力、収差、周辺減光に関しては絞った方が良く、ただし絞り過ぎも回折現象の影響を受けるのであまり良くありません。

なので、F5.6〜F11くらいが最もシャープに写せるF値を言えるでしょう。風景写真ではF8やF11を使うことが多いです。

ただし、被写界深度やシャッター速度の観点でそれ以上絞ることも少なくありません。F5.6〜F11くらいが最もシャープということは、あくまでも目安と考えると良いです。

 

次に、絞りによって変わるもの繋がりで光条について書きたいと思います。

F値や絞り羽根の枚数によって光条が変わる

太陽などの光源を写した際にとげとげした光の線が写るのが光条です(光芒と言う方もいる)。

見た目もカッコよく写真映えするのでフォトグラファーに好まれます。

F値(絞り)による画質や光条の変化

綺麗ですね。

この光条も絞りによって見え方や形が全く異なってきます。

F値と光条の形

まず、光条はしっかり絞った方が形がはっきりします。

これも画像を見比べて見ましょう。

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F8くらいまではあまり光条の形ははっきりしませんが、F11あたりから形が現れF16やF22では綺麗な光条になっています。

ただし、これはレンズの種類に依存する部分が大きいです。なので、ご自分のレンズで好みの光条になるのはF値いくつなのか探ってみると良いかと思います。

あと、基本的に光条は広角の方がはっきりとした形になります。標準域だとくっきりしないことが多く、望遠域だと光条はほぼ出ません。

絞り羽根の枚数と光条の形

レンズによって絞り羽根の枚数は異なります。そして、光条の形(線の数)は絞り羽根の枚数が奇数なのか偶数なのかによって大きく分かれます。

実は、奇数枚の絞り羽根の場合は、その枚数の倍の数の光条が現れます。一方で、偶数枚の絞り羽根の場合は、その枚数と同じ数の光条が現れます。

F値(絞り)による画質や光条の変化

絞り羽根が5枚の場合は、奇数なので2倍の10本の光条ができ、6枚の場合は偶数なのでそのままの6本の光条ができます。

それから、絞り羽根が奇数枚の場合、羽根が重なり合っている部分にできた光の筋が、反対側にも伸びることで一対の光条になります。なので、光条の線は均一にはならず、比較的長くハッキリとした線もあれば、短くハッキリとしない線もできます。

一方で、絞り羽根が偶数の場合は均一な光条が出来る傾向です

ちなみに、この画像を撮影したレンズは絞り羽根が7枚で奇数なので、14本の光条ができています。

F値(絞り)による画質や光条の変化

光条の本数が多くギラギラする感じです。また、長い光条もあれば、短い光条もあります(対になっている)。

一方で、絞り羽根が偶数のレンズはこのような感じ。

F値(絞り)による画質や光条の変化

絞り羽根が8枚のレンズです(光条も8本)。光条の長さやくっきりさは均一。すっきりとしていてかっこいいです。

絞り羽根の数によって光条の印象が全く違うので、フォトグラファーの間では偶数派か奇数派に別れたりしていますね。

ただし、全体的に奇数絞りのレンズの方が圧倒的に多いです。ニコンなら7枚か9枚のレンズが殆ど。シグマやタムロンも圧倒的に奇数絞りが多いです。理由は絞り羽根が奇数の方がボケが綺麗になるからだそうです(詳しい仕組みまでは分かりません)。なので、偶数絞りのレンズはちょっと珍しいと言えます。

 

さらに豆知識的なことを書くと、レンズによっては円形絞りというものが採用されていることがあります。

F値(絞り)による画質や光条の変化

絞りの穴は円形の方がボケが綺麗になるからです。絞りが円形でないと丸ボケも円形にならず、カクカクとした多角形になってしまいますし、とろけるようなボケ味も円形絞りの方が良いようです。なので、最近のレンズでは円形絞りが多いです。

しかし、光条は絞り羽根が重なる角の部分に出来るので、絞りが円形だとこの角がはっきりせず綺麗な光条が出来にくい傾向にあります。

F値(絞り)による画質や光条の変化

そのためか円形絞りの場合、光条の先が広がる形になることが多いです(ただし例外もあります)。

F値(絞り)による画質や光条の変化

このような感じです。これを撮影したレンズも円形絞りでした。

ちなみに、光条の先が広がらないのはこんな感じです。

F値(絞り)による画質や光条の変化

非常にシャープな印象でかっこいいです。ちなみに、この写真を写したレンズは絞り羽根が5枚らしい。なので、光条は10本できています(画像参考:laowa.jp)。

光条は広がらな方が良いという人の方が多いようですね。ただ、上記したように最近のレンズはボケ味の観点から奇数で円形絞りが多いです。

以上ですが、自分の好みの光条になるレンズを探すのも面白いかもしれませんね。

まとめ

  • 絞り開放は解像力が低い
  • 絞り開放は収差が大きい
  • 絞り開放は周辺減光が大きい
  • 絞り過ぎは解像力が落ちる
  • 絞った方が光条がでる
  • 絞り羽根の枚数によって光条の形が変わる

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